みまもりコラム
訪問介護の提供時間!基本的な考え方や時間帯による違いを解説

はじめに
訪問介護は、在宅での生活を支援するために提供されるサービスで、利用者の生活の質を維持・向上させる重要な役割を果たしています。訪問介護のサービス提供時間は、利用者のニーズに応じて柔軟に設定されますが、その一方で基本的な時間区分や単位数が定められています。これにより、サービスの内容や提供時間に応じて適切な報酬が確保されると同時に、介護の質を一定水準に保つことができます。
Table of Contents
本記事では、訪問介護のサービス提供時間について、基本的な考え方や時間帯による料金の違いなどについて詳しく解説します。訪問介護を利用する際のお役に立つ内容となっていますので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
訪問介護のサービス提供時間の基本
訪問介護の効果的な利用には、サービスの提供時間に関する基本的な理解が欠かせません。訪問介護のサービス提供時間は、利用者の生活リズムやニーズに合わせて設定される一方で、基本的なルールや単位数が定められており、これに基づいてサービスが提供されます。以下で具体的な内容を解説していきます。
訪問介護の単位数の計算方法
訪問介護の単位数は、サービスの内容と提供時間によって異なり、サービス提供に対する報酬を表す指標となります。基本的には、1単位あたりの単価は10円ほどで計算されますが、地域や事業所によって若干の違いがあります。以下に、身体介護と生活援助の各サービスについての単位数を示します。
- 身体介護
- 20分未満: 167単位
- 20分以上30分未満: 250単位
- 30分以上1時間未満: 396単位
- 1時間以上: 579単位(30分ごとに84単位追加)
- 生活援助
- 20分以上45分未満: 183単位
- 45分以上: 225単位
- 通院等乗降介助
- 1回: 99単位
身体介護は、介助者が利用者に身体的に触れるサービスで、食事介助や排泄介助などが含まれます。生活援助は、利用者に触れる必要がないサービスで、掃除や料理などが該当します。通院等乗降介助は、利用者の医療機関への移動をサポートするサービスです。
例えば、30分の生活援助を提供した場合には183単位が算定され、30分の身体介護を午前9時と午後3時に提供した場合には、それぞれの時間で396単位が算定されるため、合計792単位になります。
訪問介護の2時間ルールの概要
訪問介護の「2時間ルール」とは、同一の利用者に対して、同じ日に2回以上訪問介護を行う際に適用される規定です。このルールの基本的な考え方は、「サービス提供の間隔が約2時間未満であれば、2回目の訪問を1回のサービスとみなす」というものです。つまり、サービスの提供間隔が2時間以内であれば、2回目の訪問は1回のサービスとみなされ、報酬の算定が変更される可能性があります。このルールは、利用者の生活リズムに合わせてサービスを提供することや、長時間のサービスを複数回に分けて提供することで、介護報酬を調整することを目的としています。
このルールは、具体的には「サービスの終了時間から次のサービスの開始時間までの間隔」が基準となります。例えば、午前9時にサービスが終了し、午前10時に次のサービスが開始された場合、1時間の間隔しかないため、2時間ルールが適用されることになります。
訪問介護の2時間ルールの注意点
2時間ルールを適用する際には、以下の注意点があります。
- 異なる事業者のサービスを利用した場合も対象になる
同じ事業者だけでなく、異なる事業者が2時間以内にサービスを提供した場合も、1つのサービスとして扱われることがあります。例えば、ある事業所が午前10時にサービスを提供し、別の事業所が午前11時30分にサービスを提供した場合、これらのサービスが合算されることがあります。 - 算定対象外の時間に注意する
サービス提供中でも、院内で過ごす時間などは算定対象外となります。通院介助などの場合、院内での時間が2時間以上であっても、行きと帰りの時間が分けて算定されることがあります。
訪問介護の2時間ルールの例外
2時間ルールにはいくつかの例外があります。以下に代表的なものを挙げます。
- 緊急時
緊急時の訪問介護は、2時間ルールの適用外となります。急な体調変化や生活上のトラブルなど、予期しない状況に対応するため、ルールの適用を受けずにサービスが提供されます。 - 看取り期のサービス
看取り期においては、2時間ルールが適用されず、必要に応じて短い間隔でのサービス提供が認められています。 - 通院等乗降介助
通院等乗降介助は、サービス提供時間の間隔が2時間未満でも、別々のサービスとして算定されることが多いです。
訪問介護のサービス提供時間には、身体介護と生活援助のそれぞれに異なる時間区分と単位数が設定されています。サービス提供時間の適切な設定は、利用者のニーズに応じた効果的なケアの提供に不可欠です。
時間帯による料金の違いの一般的な例をご紹介
訪問介護サービスを利用する際、サービス提供の時間帯によって料金が異なることをご存知でしょうか。介護サービスの料金は、基本的に以下の3つの時間帯に分けられ、それぞれ異なる料金設定がされています。ここでは、各時間帯の料金の違いと、その一般的な例について詳しくご紹介します。
通常時間帯の料金
通常時間帯(午前8時から午後6時)は、一般的な訪問介護サービスの基本料金が適用される時間です。この時間帯は、多くの事業所で標準の料金設定がされており、身体介護や生活援助などのサービスに対して定められた単位数に基づいて計算されます。例えば、30分の身体介護が必要な場合、通常時間帯では1回あたり396単位の料金が設定されているとします。生活援助の場合も、30分であれば183単位となり、これが基本料金となります。
早朝・夜間の料金
事業者ごとに違いはありますが、早朝・夜間の時間帯(主に午前6時から午前8時、午後6時から午後10時の時間帯)は、通常時間帯の料金に対して25%ほど増しになっているケースが多いです。この追加料金は、介護職員の労働負担を考慮して設定されており、通常よりも高い報酬が支払われます。例えば、通常時間帯で30分の身体介護が396単位の場合、早朝・夜間の時間帯では495単位になります。同様に、30分の生活援助が通常183単位であれば、早朝・夜間には228単位となります。
深夜の料金
深夜の時間帯(主に午後10時から翌日の午前6時の時間帯)は、さらに高い料金が設定されているケースが多いです。この時間帯の料金は、多くの場合通常時間帯の料金に対して50%増しなどの値段が設定されています。深夜に訪問介護を提供する場合は、職員の労働負担がさらに大きくなるため、高い報酬が求められます。例えば、通常時間帯で30分の身体介護が396単位であれば、深夜の時間帯では594単位となります。また、生活援助も通常183単位から、深夜には273単位となります。
料金の加算についての注意点
実際の料金は、地域区分や事業所の加算などによって若干異なる場合があります。地域によっては、追加の加算が適用されることもあります。また、利用者の自己負担額は介護保険の負担割合証に基づいて決定されるため、具体的な負担額については各事業所に確認することが推奨されます。緊急時の対応や特定の条件下では、追加の加算が適用されることもありますので、これらも考慮する必要があります。
このように、訪問介護の料金は時間帯によって大きく異なります。サービスを利用する際は、料金体系をしっかり理解し、自身のニーズに最適な時間帯でのサービス提供を選ぶことが大切です。
訪問介護を利用する際のポイント
訪問介護サービスを効果的に活用するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておくことが大切です。以下に、訪問介護を利用する際の主要なコツと注意点をご紹介します。
1. ニーズの明確化
まず、訪問介護サービスを受けるにあたり、最も重要なのは自分や家族の具体的な介護ニーズを明確にすることです。どのようなサポートが必要か、どの程度の介護が求められているかを把握することで、ケアマネジャーに的確な情報を伝えることができます。これにより、サービス内容や提供時間を最適に設定することが可能となります。例えば、食事の準備が必要であれば、その時間帯に合わせたサービスを依頼することが重要です。
2. 生活リズムに合わせた時間設定
訪問介護の時間設定は、日常生活のリズムに合わせることが効果的です。例えば、起床時の身支度、食事の準備、入浴介助など、日々の生活パターンに沿ったスケジュールを組むことで、よりスムーズな介護が実現します。利用者の生活リズムに合わせることで、無駄な待機時間を減らし、介護サービスを最も有効に活用することができます。
3. ヘルパーとのコミュニケーション
訪問介護サービスの質を高めるためには、ヘルパーとの良好なコミュニケーションが欠かせません。介護内容やサービスに対する要望、変更点などは遠慮せずに伝えるようにしましょう。ヘルパーとの信頼関係を築くことで、より満足度の高いサービスを受けることができ、介護の質も向上します。
4. 柔軟性の確保
体調の変化や予期しない予定変更に対応できるよう、スケジュールにある程度の柔軟性を持たせることが望ましいです。例えば、予定外の通院や体調不良などが発生した場合にも、急な変更に対応できるよう、サービス提供者とあらかじめ調整可能な方法を確認しておくと安心です。
5. 自立支援の視点
訪問介護の目的の一つは、利用者の自立を支援することです。できることは自分で行い、必要な部分だけを介助してもらうという姿勢が、自立支援につながります。自分でできる範囲を広げることで、介護の負担を軽減し、より自主的な生活を送ることが可能となります。
6. 定期的な見直し
利用者の状態や生活環境は変化するため、定期的にサービス内容やスケジュールの見直しを行うことが重要です。例えば、体調の変化や生活スタイルの変化に応じて、介護の内容や時間を調整することで、常に最適なサービスを受けることができます。
7. 他のサービスとの組み合わせ
訪問介護だけでなく、デイサービスや訪問看護など他のサービスとの組み合わせも考慮しましょう。複数のサービスを利用することで、より包括的なケアを受けることができ、より充実した在宅生活を実現できます。たとえば、デイサービスでリハビリを受け、訪問介護で日常生活のサポートを受けるなど、ニーズに合わせた組み合わせが可能です。
8. 緊急時対応の確認
緊急時の対応方法や連絡先を事前に確認しておくことも大切です。緊急時に備えて、迅速に対応できる体制を整えておくことで、安心してサービスを利用することができます。緊急時の連絡手順や対応方法をあらかじめ確認し、必要な情報をヘルパーや家族と共有しておきましょう。
これらのポイントを押さえることで、訪問介護サービスをより効果的に活用し、質の高い在宅生活を送ることができます。自分や家族のニーズに最適なサービスを選び、より良い介護環境を整えるために、これらのポイントをぜひ実践してみてください
まとめ
訪問介護サービスは、在宅での生活を支援し、利用者の生活の質を向上させるために重要な役割を果たしています。サービス提供時間は利用者のニーズに応じて柔軟に設定されますが、基本的な時間区分や単位数が定められています。これにより介護の質を一定水準に保つことができます。本記事では、訪問介護のサービス提供時間に関する基本的な知識から料金の違いについて詳しく解説しました。
訪問介護を効果的に利用するためには、ニーズの明確化、生活リズムに合わせた時間設定、ヘルパーとの良好なコミュニケーションなどが重要です。これらのポイントを押さえることで、訪問介護サービスをより効果的に活用し、質の高い在宅生活を実現することができます。訪問介護をご検討の際は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

株式会社サンケア
代表 山下裕子
私たちは、香川県さぬき市で2010年から訪問介護センターとデイサービスを運営しています。
社名「サンケア」は、「我が心で介護を行う」という思いを込めて名付けました。訪問介護やデイサービスを提供する中で、だれもが「大切な時間を自分らしく生きられるようにお支えしたい」という 思いが強くなっていきました。
「今は自立していても、不安なときには誰かに見守ってほしい」そのような方からの声が、寄り添いサービス「サンラブライン」の立ち上げのきっかけです。一人一人の人生を大切に、充実した毎日を 過ごしてもらえるようサポートしていきます。一人暮らしに不安を感じている方、一人暮らしの親を心配する方、お気軽にご相談ください。